本書は『総合クレーム対応マニュアル(2026-06-16)』の下位文書=B群(健康・安全)の店内オペ特化版です。嘔吐対応は重大度L3に該当しうるため、重大度判定・エスカレーション・物証保全・段階的報告は必ず上位マニュアルに従います。
上位文書:総合クレーム対応マニュアル / カスハラ対応マニュアル / 社員ハンドブック。
1. 人の安全が最優先。嘔吐した方の容体・ほかのお客様の安全を、商品や売場より先に守る。
2. もみ消さない・隠さない(北極星=信用累積)。記録を残し、健康被害の訴えがあれば必ず社長・専務へ“その日のうちに”上げる。
3. 一人で抱えない。声を出して応援を呼び、役割を分ける。迷ったら必ず“重い方”に倒す。
| やること | ポイント | |
|---|---|---|
| STEP1 | 大きな声で応援を呼ぶ | 「お客様の体調不良です、応援お願いします」一人で対応しない |
| STEP2 | 嘔吐した方へ駆け寄り容体確認 | 声をかけ意識・呼吸・顔色を見る → 第9章の119判断へ |
| STEP3 | ほかのお客様を遠ざける | 嘔吐物から半径約2mに人を入れない。動線確保・声かけ誘導(第3章) |
| STEP4 | 役割を分ける | 処理担当/客対応担当/連絡担当を決める(第2章) |
| STEP5 | 売場閉鎖の判断 | 閉鎖か継続かを決裁者が判断(第7章)。決裁者不在時ルールあり |
| STEP6 | 処理・記録・報告 | 処理(第4章)→記録票(第16章)→報告・エスカレ(第11章) |
店舗責任者は到着後すぐ、その場の人員で次の3役を“名指し”で割り当てる。少人数時は兼務する。
| 役割 | 主な任務 |
|---|---|
| ①処理担当 | 防護具を着けて嘔吐物の除去・消毒(第4章)→汚染商品の隔離・廃棄判断→床消毒。処理中は接客しない(中心人物) |
| ②客対応担当 | 嘔吐した方のケア・声かけ・119判断(寄り添う)/ほかのお客様の誘導・動線確保(第3章)/入口で入店調整 |
| ③連絡/記録担当(指揮) | 店長・社長/専務へ報告/119・保健所等の外部連絡/記録票記入/再開合図。レジ全体も統括 |
| 人数 | 動き方 |
|---|---|
| 2名 | 1名=お客様対応+連絡(容体確認・119/店長へ電話・他客誘導)/もう1名=立入制限と処理準備。応援が来るまで処理を無理に急がず、汚染拡大だけ止める |
| 1名(単独) | ①まず本人の安全確認 →②大声で近隣店舗・本社へ応援要請または電話 →③立入制限の表示を置く →④店長・社長/専務へ電話し指示を仰ぐ。本格処理は応援到着後。緊急時は119最優先。レジは一時閉じてよい |
① 嘔吐物の半径約2mを『立入禁止ゾーン』とみなす。飛沫が広く飛んでいる前提で、近い棚・通路も含め広めに取る。
② 立入制限の物理ブロックを置く(カラーコーン/『清掃中 足元注意』看板/カート/脚立 等、店内の物で素早く囲う。常備品は第14章)。
③ 声かけで誘導:『ただいま清掃中です。恐れ入りますがこちらをお通りください』と別動線(レジ・出口)へ案内。
④ 嘔吐物に近い通路で会計待ちのお客様は、別レジ・別の立ち位置へ移動いただく。列は外側へずらす。
⑤ 出入口付近で発生した場合は入店を一時的に止める。入口担当を1名立て『少々お待ちください』と案内。
・お客様の目の前で大声で騒ぐ・指をさす・写真を撮る(不安と不信を生む。SNS拡散の加重要因)
・嘔吐物をまたいで商品を取る・お客様に取らせる
・換気のつもりで強い風(扇風機・エアコン直風)を嘔吐物に当てる(飛沫・ウイルスを拡散)。換気は窓・出入口で穏やかに
市販の塩素系漂白剤の「原液濃度」をボトルで確認し、水量に対する量を下表で作る。※製品により濃度が違うため必ずラベルを確認。
| 原液の濃度(製品表示) | 作る量 | 原液の量(目安) | 水の量 |
|---|---|---|---|
| 約6%(家庭用塩素系漂白剤の代表値) | 0.1%液 500mL | 約8mL(キャップ約1.6杯※5mL/杯) | 約500mL |
| 約6% | 0.1%液 1L | 約17mL(キャップ約3杯強) | 約1L |
| 約12%(業務用高濃度タイプ) | 0.1%液 1L | 約8mL | 約1L |
当社直販店は むき出し陳列の堅焼きピーナッツ煎餅・試食品 があるため、ここが最重要判断。原則「迷ったら廃棄」。食品は復旧コストより信用を優先する(北極星)。
STEP1:嘔吐地点を中心に半径2mを“目で”区切る(処理担当が宣言、客対応担当が立入制限)
STEP2:範囲内の「むき出し・試食・量り売り」は理由を問わず全廃棄(個数を記録票へ)
STEP3:範囲内の密閉包装品は外装清拭→汚れなしのみ販売継続
STEP4:その売場区画を一時閉鎖し、処理・消毒完了まで販売しない
STEP5:処理後、第8章「食品安全確認」を満たして初めて陳列・試食を再開
| 対象 | 判定 | 措置 |
|---|---|---|
| 半径2m以内の むき出し煎餅・試食品・量り売り品 | 汚染とみなす(飛沫は目に見えない) | 全廃棄(戻さない・売らない) |
| 半径2m以内でも 密閉個包装・箱詰未開封 | 外装が汚れていなければ販売可 | 外装をアルコール清拭。汚れがあれば廃棄 |
| 半径2m超〜売場全体の むき出し品 | 直接飛散の可能性は低いが要観察 | 汚れ・臭い・接触跡があれば廃棄 |
| 試食トレイ・トング・容器(範囲内) | 器具は汚染とみなす | 中身廃棄+器具を洗浄・次亜塩素酸消毒 |
原則:判断に迷う間は『閉じて安全を確保』を先に行う。再開は決裁者の確認後。健康被害の訴えがある場合の最終的な営業方針は社長・専務の判断事項。
| 状況 | 決裁者 | 備考 |
|---|---|---|
| 店長が在店 | 店長 | 店長が閉鎖範囲・時間・再開を決定し、社長・専務へ報告 |
| 店長不在(副店長・リーダー在店) | その場の最上位者(副店長→ベテラン社員) | 判断したら直ちに店長へ電話。連絡が付くまで『安全側=該当区画は閉じる』で先に動く |
| 社員1名のみ(パート単独等) | その1名が暫定判断 | 『該当区画を閉じる』を初期動作とし、同時に店長・社長/専務へ電話。一人で抱えない |
| 営業継続できる目安(局所対応) | 売場閉鎖・縮小へ倒す目安 |
|---|---|
| ☐ 嘔吐量が少なく1か所に限局 ☐ むき出し商品・試食品から離れている ☐ 処理担当を確保でき立入制限で他客と分離できる ☐ 残った人員でレジ・接客が回る |
☐ むき出し商品・試食台に飛散/近接(汚染判断不能) ☐ 広範囲に飛散/繁忙で立入制限を保てない ☐ 人員不足で処理と接客を同時に回せない ☐ 自社商品起因が疑われる/複数客に体調不良 ☐ 感染症(ノロ等)が強く疑われ拡大リスクが高い |
下記すべてに☑が付くまで、汚染区画での陳列・試食・量り売りを再開しない。
| すぐ119番を呼ぶサイン | 対応 |
|---|---|
| 意識がもうろう・呼びかけに反応が鈍い/けいれん | 即119。AED/応急手当の用意 |
| 嘔吐を繰り返す・吐血・血便・激しい腹痛 | 即119 |
| 唇や顔が腫れる・息苦しい(アナフィラキシー疑い) | 即119(食物アレルギーの可能性を伝える) |
| 高齢者・小児・妊婦で ぐったりしている | 即119(加重要因=重く見る) |
| 本人が「救急車を」と希望 | 希望に沿って119 |
「うちの試食/商品を食べた直後に嘔吐」「複数のお客様が同様の症状」等、食中毒の可能性が浮かんだら隠さない。現場では断定しない。
| 段階 | やること | 誰が |
|---|---|---|
| 1 | 症状・食べた商品・喫食時刻・人数を記録。原因と疑われる試食品/商品は廃棄せず“保全”(袋に入れ冷蔵) | 責任者 |
| 2 | 品質管理部へ即連絡。L3としてその日のうちに社長・専務へエスカレーション | 責任者→品質管理部 |
| 3 | 同一ロット・同一試食の販売/提供を一時停止 | 品質管理部 |
| 4 | 保健所連絡の要否・タイミングを 品質管理部+社長/専務 で判断し、必要なら福井市保健所へ連絡 | 経営層 |
保健所への報告は『隠さない=信用累積』の核(北極星)。社長・専務の指示で速やかに。届出義務の有無は上位マニュアルの要確認事項に従う。
【要確認=掲示前に確定】 福井市保健所(食品衛生担当)の正式名称・電話番号を確認のうえ第15章に記入する。推測の番号は書かない。
嘔吐対応は本来ケアの場面。ただし過度な叱責・土下座要求・高額賠償の即時要求・長時間拘束に転じたら、カスハラ対応マニュアルへ切り替える。
各直販店舗のレジ下またはバックヤードに“まとめて1箱”で常備し、月1回 数量・使用期限を点検する。
| 品目 | 数量(目安) | 用途・備考 |
|---|---|---|
| 使い捨て手袋(ニトリル) | 20枚以上 | 2重で使用。素手厳禁 |
| 不織布マスク | 5枚以上 | 飛沫・臭い対策 |
| 使い捨てエプロン/ガウン | 3枚以上 | 衣服汚染防止 |
| ゴーグル(または防護メガネ) | 1〜2個 | 目への飛沫防止(できれば) |
| シューズカバー | 2足以上 | 靴底からの拡散防止 |
| 吸収シート/凝固剤 または ペーパータオル | シート5枚+紙1ロール | 嘔吐物の吸収 |
| 塩素系漂白剤(次亜塩素酸Na原液) | 1本(未開封予備1) | 0.1%に希釈。濃度をラベルで確認 |
| 計量カップ/スポイト | 1個 | 希釈の正確化 |
| ポリ袋(厚手・中〜大) | 20枚以上 | 廃棄物の二重袋用 |
| ペーパータオル(拭取り/水拭き用) | 1〜2ロール | 消毒後の水拭き |
| 三角コーン/「清掃中」表示 | 1セット | 立入制限 |
| 処理手順カード(本書4章を縮小ラミネート) | 1枚 | キット内に同梱 |
| 記録票(本書16章のコピー) | 5枚以上 | 処理後すぐ記入 |
| 手指消毒用石けん/アルコール | 各1 | 手洗いの仕上げ |
| 連絡先 | 番号・記入欄 |
|---|---|
| 救急・消防 | 119 |
| 警察(カスハラ転化・身の危険) | 110 |
| 店長 | 【要記入】 |
| 社長・専務(L3は即時) | 【要記入】 |
| 品質管理部 | 【要記入】 |
| 本社・近隣店舗(応援要請) | 【要記入】 |
| 福井市保健所(食品衛生担当) | 【要確認=公式で確認し記入】 |
| 後藤弁護士(高志法律事務所・社長/専務経由) | 【要記入】 |
| 北出社労士(カスハラ・労務) | 【要記入】 |
| PL保険 事故通知窓口 | 【要確認=未特定・社長/専務が指名】 |
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 発生日時 | 年 月 日 時 分頃 |
| 発生店舗 | □本社売店 □舟寄庵 □その他( )/記入者 |
| 発生場所 | (売場のどこか・棚番号など: ) |
| 嘔吐した方 | □男性 □女性 □不明/推定年代 /□小児 □高齢者 □妊婦 |
| 対応者(3役) | 処理: /客対応: /記録連絡: |
| 本人の容態・対応 | □自力帰宅可 □休養後帰宅 □家族迎え □受診勧奨 □119要請( 時 分)□タクシー手配 |
| 喫食の有無 | □当店商品/試食を喫食(品名: /ロット: )□喫食なし □不明 |
| 加重要因の有無 | □小児 □高齢者 □妊婦 □アレルギー疑い □複数客 □SNS懸念 |
| 重大度判定 | □L1 □L2 □L3(迷ったら重い方) |
| 嘔吐物処理 | □10手順完了 開始 時 分/完了 時 分/消毒液0.1% □調製 |
| 廃棄した食品 | むき出し煎餅 約 点/試食品 約 点/量り売り 約 点/その他 |
| 廃棄概算金額 | 約 円 |
| 売場の措置 | □区画一時閉鎖( 時〜 時)/決裁者 □営業継続 □再開確認済 |
| 自社商品起因の疑い | □なし □あり(保健所連絡要否:協議中/不要/連絡済 月 日) |
| 外部連絡 | □119 □福井市保健所 □なし(時刻・相手・内容): |
| カスハラ転化 | □なし □あり(110番: /弁護士連絡: ) |
| 品質管理部 連絡 | 月 日 時 分/受け手( ) |
| 社長・専務 報告 | (L3は当日) 月 日 時 分 |
| 処理者の体調・ケア | □異常なし □要観察( )/□メンタルケア要 |
| 再発防止メモ・気づき |
※ 本書は社内限(関係者限)。お客様向け文書(お詫び状・報告書・公式声明等)は社長・専務の承認後、窓口を一本化して別途作成する。
① 福井市保健所(食品衛生担当)の正式名称・直通/時間外電話 ② 各店常備の塩素系漂白剤の原液濃度(6%か12%か)→希釈表に丸
③ 緊急連絡先(店長/社長・専務/品質管理部/近隣店舗/後藤弁護士/北出社労士) ④ PL保険 事故通知窓口(社長・専務が指名)
⑤ キット保管場所・点検担当・購入元/単価 ⑥ 各店の単独勤務時間帯と応援体制 ⑦ 記録票の保管期間
※ いずれも推測で埋めない。社長・専務の指示で確定する。