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店内嘔吐 対応マニュアル

〜 直販店舗(本社売店・舟寄庵 等)現場オペレーション特化版 〜
株式会社五月ヶ瀬グループ 品質管理部 / 作成日 2026-06-21 / Ver.1.0
【本書の位置づけ】

本書は『総合クレーム対応マニュアル(2026-06-16)』の下位文書=B群(健康・安全)の店内オペ特化版です。嘔吐対応は重大度L3に該当しうるため、重大度判定・エスカレーション・物証保全・段階的報告は必ず上位マニュアルに従います。

上位文書:総合クレーム対応マニュアル / カスハラ対応マニュアル / 社員ハンドブック。

目次

0.まず3秒で(迷ったらここだけ)― 最優先の3原則

1. 人の安全が最優先。嘔吐した方の容体・ほかのお客様の安全を、商品や売場より先に守る。

2. もみ消さない・隠さない(北極星=信用累積)。記録を残し、健康被害の訴えがあれば必ず社長・専務へ“その日のうちに”上げる。

3. 一人で抱えない。声を出して応援を呼び、役割を分ける。迷ったら必ず“重い方”に倒す。

1.発生直後 1分でやること(全体フロー)

 やることポイント
STEP1大きな声で応援を呼ぶ「お客様の体調不良です、応援お願いします」一人で対応しない
STEP2嘔吐した方へ駆け寄り容体確認声をかけ意識・呼吸・顔色を見る → 第9章の119判断へ
STEP3ほかのお客様を遠ざける嘔吐物から半径約2mに人を入れない。動線確保・声かけ誘導(第3章)
STEP4役割を分ける処理担当/客対応担当/連絡担当を決める(第2章)
STEP5売場閉鎖の判断閉鎖か継続かを決裁者が判断(第7章)。決裁者不在時ルールあり
STEP6処理・記録・報告処理(第4章)→記録票(第16章)→報告・エスカレ(第11章)

2.役割分担(最初に“声で”決める)

店舗責任者は到着後すぐ、その場の人員で次の3役を“名指し”で割り当てる。少人数時は兼務する。

2-1. 繁忙時・3名以上いるとき

役割主な任務
①処理担当防護具を着けて嘔吐物の除去・消毒(第4章)→汚染商品の隔離・廃棄判断→床消毒。処理中は接客しない(中心人物)
②客対応担当嘔吐した方のケア・声かけ・119判断(寄り添う)/ほかのお客様の誘導・動線確保(第3章)/入口で入店調整
③連絡/記録担当(指揮)店長・社長/専務へ報告/119・保健所等の外部連絡/記録票記入/再開合図。レジ全体も統括

2-2. 少人数・1〜2名しかいないとき(人より安全が優先)

人数動き方
2名1名=お客様対応+連絡(容体確認・119/店長へ電話・他客誘導)/もう1名=立入制限と処理準備。応援が来るまで処理を無理に急がず、汚染拡大だけ止める
1名(単独)①まず本人の安全確認 →②大声で近隣店舗・本社へ応援要請または電話 →③立入制限の表示を置く →④店長・社長/専務へ電話し指示を仰ぐ。本格処理は応援到着後。緊急時は119最優先。レジは一時閉じてよい
単独勤務をできるだけ作らない/応援を呼べる体制(近隣店舗・本社の電話番号を各店に掲示)を事前に整える。 【要確認=各店の単独勤務時間帯と応援体制】

3.ほかのお客様の安全確保と動線確保

3-1. すぐやること(順番)

① 嘔吐物の半径約2mを『立入禁止ゾーン』とみなす。飛沫が広く飛んでいる前提で、近い棚・通路も含め広めに取る。

② 立入制限の物理ブロックを置く(カラーコーン/『清掃中 足元注意』看板/カート/脚立 等、店内の物で素早く囲う。常備品は第14章)。

③ 声かけで誘導:『ただいま清掃中です。恐れ入りますがこちらをお通りください』と別動線(レジ・出口)へ案内。

④ 嘔吐物に近い通路で会計待ちのお客様は、別レジ・別の立ち位置へ移動いただく。列は外側へずらす。

⑤ 出入口付近で発生した場合は入店を一時的に止める。入口担当を1名立て『少々お待ちください』と案内。

3-2. やってはいけないこと

・お客様の目の前で大声で騒ぐ・指をさす・写真を撮る(不安と不信を生む。SNS拡散の加重要因)

・嘔吐物をまたいで商品を取る・お客様に取らせる

・換気のつもりで強い風(扇風機・エアコン直風)を嘔吐物に当てる(飛沫・ウイルスを拡散)。換気は窓・出入口で穏やかに

4.嘔吐物処理 10手順 チェックリスト(上から順に☑)

厚生労働省・自治体および花王プロフェッショナル公開手順に準拠。 ★ 素手・掃除機・水で流す は絶対禁止。

5.次亜塩素酸ナトリウム 0.1%(1000ppm)希釈早見表

市販の塩素系漂白剤の「原液濃度」をボトルで確認し、水量に対する量を下表で作る。※製品により濃度が違うため必ずラベルを確認。

原液の濃度(製品表示)作る量原液の量(目安)水の量
約6%(家庭用塩素系漂白剤の代表値)0.1%液 500mL約8mL(キャップ約1.6杯※5mL/杯)約500mL
約6%0.1%液 1L約17mL(キャップ約3杯強)約1L
約12%(業務用高濃度タイプ)0.1%液 1L約8mL約1L
なぜアルコールでなく次亜塩素酸か:ノロウイルス等はアルコールが効きにくいため。0.1%は“使う直前に”作る(時間が経つと効果が落ちる)。
【要確認】 店舗常備の塩素系漂白剤の“原液濃度”を確認し、上表の使う行に丸を付けて掲示。キャップ容量(5mL等)は製品で異なるため計量カップを併備すると安全。

6.むき出し煎餅・試食品の 汚染判断と廃棄/継続販売 基準

当社直販店は むき出し陳列の堅焼きピーナッツ煎餅・試食品 があるため、ここが最重要判断。原則「迷ったら廃棄」。食品は復旧コストより信用を優先する(北極星)。

6-1. 廃棄/継続販売の判断フロー

STEP1:嘔吐地点を中心に半径2mを“目で”区切る(処理担当が宣言、客対応担当が立入制限)

STEP2:範囲内の「むき出し・試食・量り売り」は理由を問わず全廃棄(個数を記録票へ)

STEP3:範囲内の密閉包装品は外装清拭→汚れなしのみ販売継続

STEP4:その売場区画を一時閉鎖し、処理・消毒完了まで販売しない

STEP5:処理後、第8章「食品安全確認」を満たして初めて陳列・試食を再開

6-2. 汚染判断の早見表

対象判定措置
半径2m以内の むき出し煎餅・試食品・量り売り品汚染とみなす(飛沫は目に見えない)全廃棄(戻さない・売らない)
半径2m以内でも 密閉個包装・箱詰未開封外装が汚れていなければ販売可外装をアルコール清拭。汚れがあれば廃棄
半径2m超〜売場全体の むき出し品直接飛散の可能性は低いが要観察汚れ・臭い・接触跡があれば廃棄
試食トレイ・トング・容器(範囲内)器具は汚染とみなす中身廃棄+器具を洗浄・次亜塩素酸消毒
迷った時の原則:「お客様の口に入るもの」は、汚染が“ない”と確認できない限り廃棄。“もったいない”でもみ消すと信用を失う。廃棄個数・金額は記録票へ正直に記載。

7.一時的な売場閉鎖 か 営業継続 かの判断(決裁者ルール)

原則:判断に迷う間は『閉じて安全を確保』を先に行う。再開は決裁者の確認後。健康被害の訴えがある場合の最終的な営業方針は社長・専務の判断事項。

7-1. 決裁者(誰が決めるか)

状況決裁者備考
店長が在店店長店長が閉鎖範囲・時間・再開を決定し、社長・専務へ報告
店長不在(副店長・リーダー在店)その場の最上位者(副店長→ベテラン社員)判断したら直ちに店長へ電話。連絡が付くまで『安全側=該当区画は閉じる』で先に動く
社員1名のみ(パート単独等)その1名が暫定判断『該当区画を閉じる』を初期動作とし、同時に店長・社長/専務へ電話。一人で抱えない

7-2. 判断基準(該当が多いほど『閉鎖・縮小』へ倒す)

営業継続できる目安(局所対応)売場閉鎖・縮小へ倒す目安
☐ 嘔吐量が少なく1か所に限局
☐ むき出し商品・試食品から離れている
☐ 処理担当を確保でき立入制限で他客と分離できる
☐ 残った人員でレジ・接客が回る
☐ むき出し商品・試食台に飛散/近接(汚染判断不能)
☐ 広範囲に飛散/繁忙で立入制限を保てない
☐ 人員不足で処理と接客を同時に回せない
☐ 自社商品起因が疑われる/複数客に体調不良
☐ 感染症(ノロ等)が強く疑われ拡大リスクが高い

8.処理後の 食品安全確認 手順(再開前チェック)

下記すべてに☑が付くまで、汚染区画での陳列・試食・量り売りを再開しない。

9.嘔吐したお客様本人へのケア・救急要請(119)

9-1. 声かけ(責めない・急かさない)

9-2. すぐ119番を呼ぶサイン(1つでも該当)

すぐ119番を呼ぶサイン対応
意識がもうろう・呼びかけに反応が鈍い/けいれん即119。AED/応急手当の用意
嘔吐を繰り返す・吐血・血便・激しい腹痛即119
唇や顔が腫れる・息苦しい(アナフィラキシー疑い)即119(食物アレルギーの可能性を伝える)
高齢者・小児・妊婦で ぐったりしている即119(加重要因=重く見る)
本人が「救急車を」と希望希望に沿って119

9-3. 自力帰宅が困難な場合

10.自社商品起因が疑われる場合(福井市保健所への連絡)

「うちの試食/商品を食べた直後に嘔吐」「複数のお客様が同様の症状」等、食中毒の可能性が浮かんだら隠さない。現場では断定しない。

段階やること誰が
1症状・食べた商品・喫食時刻・人数を記録。原因と疑われる試食品/商品は廃棄せず“保全”(袋に入れ冷蔵)責任者
2品質管理部へ即連絡。L3としてその日のうちに社長・専務へエスカレーション責任者→品質管理部
3同一ロット・同一試食の販売/提供を一時停止品質管理部
4保健所連絡の要否・タイミングを 品質管理部+社長/専務 で判断し、必要なら福井市保健所へ連絡経営層

保健所への報告は『隠さない=信用累積』の核(北極星)。社長・専務の指示で速やかに。届出義務の有無は上位マニュアルの要確認事項に従う。

【要確認=掲示前に確定】 福井市保健所(食品衛生担当)の正式名称・電話番号を確認のうえ第15章に記入する。推測の番号は書かない。

11.報告・エスカレーション(上位マニュアル準拠)

12.対応中にお客様が威圧・不当要求に転じた場合

嘔吐対応は本来ケアの場面。ただし過度な叱責・土下座要求・高額賠償の即時要求・長時間拘束に転じたら、カスハラ対応マニュアルへ切り替える。

13.従業員の二次感染防止・メンタルケア

14.嘔吐物処理キット 常備リスト(事前準備)

各直販店舗のレジ下またはバックヤードに“まとめて1箱”で常備し、月1回 数量・使用期限を点検する。

品目数量(目安)用途・備考
使い捨て手袋(ニトリル)20枚以上2重で使用。素手厳禁
不織布マスク5枚以上飛沫・臭い対策
使い捨てエプロン/ガウン3枚以上衣服汚染防止
ゴーグル(または防護メガネ)1〜2個目への飛沫防止(できれば)
シューズカバー2足以上靴底からの拡散防止
吸収シート/凝固剤 または ペーパータオルシート5枚+紙1ロール嘔吐物の吸収
塩素系漂白剤(次亜塩素酸Na原液)1本(未開封予備1)0.1%に希釈。濃度をラベルで確認
計量カップ/スポイト1個希釈の正確化
ポリ袋(厚手・中〜大)20枚以上廃棄物の二重袋用
ペーパータオル(拭取り/水拭き用)1〜2ロール消毒後の水拭き
三角コーン/「清掃中」表示1セット立入制限
処理手順カード(本書4章を縮小ラミネート)1枚キット内に同梱
記録票(本書16章のコピー)5枚以上処理後すぐ記入
手指消毒用石けん/アルコール各1手洗いの仕上げ
【保管場所=各店で確定し記入】 本社売店:____/ 舟寄庵:____。 点検担当:____。 【要確認】キットの購入元・単価は品質管理部で発注先を決めてから記入(推測単価は書かない)。

15.緊急連絡先一覧(各店で記入・掲示)

連絡先番号・記入欄
救急・消防119
警察(カスハラ転化・身の危険)110
店長【要記入】
社長・専務(L3は即時)【要記入】
品質管理部【要記入】
本社・近隣店舗(応援要請)【要記入】
福井市保健所(食品衛生担当)【要確認=公式で確認し記入】
後藤弁護士(高志法律事務所・社長/専務経由)【要記入】
北出社労士(カスハラ・労務)【要記入】
PL保険 事故通知窓口【要確認=未特定・社長/専務が指名】

16.店内嘔吐 対応 記録票(処理後すぐ記入・品質管理部へ提出)

項目記入欄
発生日時  年  月  日  時  分頃
発生店舗□本社売店 □舟寄庵 □その他(     )/記入者    
発生場所(売場のどこか・棚番号など:         )
嘔吐した方□男性 □女性 □不明/推定年代  /□小児 □高齢者 □妊婦
対応者(3役)処理:   /客対応:   /記録連絡:   
本人の容態・対応□自力帰宅可 □休養後帰宅 □家族迎え □受診勧奨 □119要請( 時 分)□タクシー手配
喫食の有無□当店商品/試食を喫食(品名:   /ロット:   )□喫食なし □不明
加重要因の有無□小児 □高齢者 □妊婦 □アレルギー疑い □複数客 □SNS懸念
重大度判定□L1 □L2 □L3(迷ったら重い方)
嘔吐物処理□10手順完了 開始 時 分/完了 時 分/消毒液0.1% □調製
廃棄した食品むき出し煎餅 約 点/試食品 約 点/量り売り 約 点/その他
廃棄概算金額約     円
売場の措置□区画一時閉鎖( 時〜 時)/決裁者    □営業継続 □再開確認済
自社商品起因の疑い□なし □あり(保健所連絡要否:協議中/不要/連絡済 月 日)
外部連絡□119 □福井市保健所 □なし(時刻・相手・内容):
カスハラ転化□なし □あり(110番:  /弁護士連絡:  )
品質管理部 連絡 月 日 時 分/受け手(    )
社長・専務 報告(L3は当日) 月 日 時 分
処理者の体調・ケア□異常なし □要観察(   )/□メンタルケア要
再発防止メモ・気づき 

※ 本書は社内限(関係者限)。お客様向け文書(お詫び状・報告書・公式声明等)は社長・専務の承認後、窓口を一本化して別途作成する。

【運用前に各店・本社で確定する要確認事項】

① 福井市保健所(食品衛生担当)の正式名称・直通/時間外電話 ② 各店常備の塩素系漂白剤の原液濃度(6%か12%か)→希釈表に丸

③ 緊急連絡先(店長/社長・専務/品質管理部/近隣店舗/後藤弁護士/北出社労士) ④ PL保険 事故通知窓口(社長・専務が指名)

⑤ キット保管場所・点検担当・購入元/単価 ⑥ 各店の単独勤務時間帯と応援体制 ⑦ 記録票の保管期間

※ いずれも推測で埋めない。社長・専務の指示で確定する。